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2005年 12月 11日
この一週間,ばたばたしていて,
ようやく先週の日曜日に放映されたスペシャル番組 「脳梗塞からの再生~免疫学者・多田富雄の闘い」の録画を 観ることができました。 多田博士は,国際的に活躍する免疫学者でしたが, 2001年に脳梗塞で倒れ,右半身不随になってしまったのです。 人類は,声(言葉)というコミュニケーションツールを手に入れた代償として, 咽喉の位置が高く上がり,食道と接近してしまいました。 つまり,ものを食べるとき,誤嚥しやすい構造に進化してしまったのです。 脳の高度な機能によって,食事と呼吸を振り分けているのですが, 多田氏は脳梗塞による機能障害で,言葉を発することができなくなり, 食べることもうまくできなくなります。 そんな多田博士のリハビリの日々を綴ったもので, 番組ではさらに前立腺腫瘍がリンパ節に転移したことも明かされ, 人生の限りある日々を懸命に,そして知的に楽しく生きようとしていました。 失った言葉はワープロとリハビリで, 失った食生活は,ゼリー状の流動食に好きなお酒を混ぜながら, そして科学者としての良心が,核廃絶と平和への祈りとなって, 広島の平和公園で慟哭し,「原爆忌」という能を書き上げます。 そんな多田氏が,脳梗塞の絶望から立ち上がったひとつのきっかけに 柳澤桂子さんとの往復書簡があります。 「往復書簡:露の身ながら」(2004年,集英社)という本になっています。 露の世は 露の世ながら さりながら(小林一茶) 多田氏の好きな句から文字ったタイトルです。 二人の死の直前まで行った科学者が, 慣れないワープロで懸命に言葉を綴り, 科学だけでなく音楽や能といった科学ではない文化を通じて, 生命の話から戦争への怒り,平和への願いなどが語られています。 「科学者はシェークスピアを,文学者は相対性理論を読みなさい」 これも,多田氏の好きな言葉だそうです。
by noririn_papa
| 2005-12-11 22:06
| 医療・健康
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