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2010年 03月 16日
ときは江戸時代。
神社の絵馬に書かれた算術を解き合い 御前試合さながらに将軍の前で囲碁の勝負をし 諸国を巡って北極星を観測する。 そして、算術と天体測定を頼りに新たな暦作りに挑戦する。 そんな男、渋川春海が主人公です。 私にとっては知らないことばかりで こんな時代小説があろうとは驚きました。 「天地明察」著・冲方 丁。角川書店。 私はこの著者の名前も知らなかったのですが プロフィールを読むと、ゲーム、コミック原作、アニメ制作と マルチな才能を持つ人で、初の時代小説というのです。 この本を書いたのが安部龍太郎さんあたりであれば さすがと納得するばかりですが メディアクリエーターが書いたとは驚きです。 出てくる人物もみな魅力的で 酒井忠清、保科正之、水戸光圀といった時代の大物から 数学者、天文学者、囲碁棋士など 次々に魅力的な人物が登場します。 特に前半の、算法勝負や観測隊の旅のエピソードは 読んでいてわくわくしました。 そして後半の、まさに命を賭けた改暦の勝負。 最後はさながら囲碁の定石のように 勝利に向けてさまざまな手を打っていくのですが このあたりの記述があっさりしすぎているように思うのです。 確かに、大和暦が完成した時点で 主人公の学問的達成感、勝利感は終わり あとは政治的な勝利に向けての布石なのですが このあたりの公家との駆け引きなどについても 手に汗握る展開がほしかったように思います。 また、全体が主人公の視線から描かれているため 主人公への感情移入はしやすいのですが いろいろな人物の視線も入れて俯瞰的に描いたら もっと他の人物が浮き上がったようにも思います。 とはいえ、分厚い本をカバンに入れて持ち歩き 数日で一気に読み上げました。 江戸時代の観測隊が機械を使って星を計測する光景など 映像でも観てみたい作品です。
by noririn_papa
| 2010-03-16 22:06
| 小説・本
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