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2016年 01月 17日
この本の装丁の最大の功績は、近年、商品管理の合理化の名の下にブックデザインを破壊してしまったバーコードを帯に追いやったことではないかと思います。 もし、この方法が出版流通業界で許容されるなら、バーコードを印刷するためのスペースに本の裏表紙のデザインを一部犠牲にせざるを得なかったブックデザインが蘇るのです。 もちろんこの本には、それを許さざるを得なかった美しい表紙デザインがあります。 布表紙と箔押しによる手触りの温かさ、工芸品のような幾何学模様。思わず手に取り中を開きたくなります。 そして、デザイナーがこの詩集を伝えるために探し求めた薄青色の和紙で綴じられた本紙。 電子書籍の台頭する時代に、紙媒体の可能性に挑戦する本作りを目指した制作者たちの心意気に敬意を表します。 ただし、個人的には本紙に色紙を使うのはどうかと思うのです。 やはり生成りの上質紙から、自由にそれぞれの詩の持つイメージを膨らませたいと思います。 また、和紙は裏と表でずいぶん紙面の持つ感じが違います。そのため、一つの詩が頁をめくることで裏表面での紙質の違いにより印象が変わってしまうように感じたのです。 また、詩の連の中には、行間隔を変えてでも泣き別れにしてほしくないと思った行の並びもありました。 もちろんこれもわざとかもしれません。本全体の統一感を優先すれば、すべて同じ行間と送りが美しいでしょう。 そして、詩人の谷川さんは、こうした違和感も含めて音と言葉を楽しめと笑うかもしれません。そう、この本の詩は短い文節の行が並んでいて、まるでその行の長さが音階を表しているようなのです。 冒頭の詩の言葉を借りれば、ことばの雨粒が音になって傘をささない私に降り注いでくるようです。 それぞれの詩に登場する音もさまざまです。 チューバ、ハープシコード、リュート、イマジン、バッハ、せせらぎ、潮騒、羊の鳴き声、笑い声、鼾、そして沈黙。。。 「あたしの犬の前世はあなたなのに、あなたの猫の前世はあたしではない」と理不尽に拗ねる観覧車の詩が好きかな。
by noririn_papa
| 2016-01-17 14:14
| 小説・本
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Comments(2)
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みや
at 2016-01-31 21:33
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なんとなくの私の勝手な印象だけど、この青い紙によって
彼の詩が紙面ではなく色即是空の「空」に言葉が遊んでいると言うイメージをもたらしてくれたような。。。 ん~~、言葉にすると難しいな。
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noririn_papa at 2016-02-05 12:26
うちのかみさんも、谷川俊太郎さんのイメージは青、と言っていたので、たぶん色のイメージとしては正しいかもね。
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