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2013年 07月 27日
アフリカの大自然と孤独と僻地医療に生きる青年医師が
故郷の日本とかつての恋人への切ない思いを 一通の手紙に託した、あの名曲を超えられるのだろうか。 そんな思いは杞憂でした。 さださんは東日本大震災の地に 風に立つライオンを蘇らせるために きっとこの物語を紡いだのでしょう。 それにしても、ここまで深く医療問題に言及してくるとは 正直、さださんの医療への造詣の深さに驚きました。 僻地医療、特定看護師、 医療の限界と患者の過度な期待のギャップ、など さまざまな立場の人間が ひとりの男の想い出を語るという構成の中で 現代の日本の医療問題まで鮮やかに浮き上がらせています。 「人間の身体なんて宇宙のようなもの。 医学が発達したって、せいぜい月までロケット飛ばしたのと同じ。 わからないことだらけ。 医者は患者より少し勉強して知識があるぶん 治療という山登りの道案内をすることくらいしかできないんだよ」 ある医師が私に言った言葉を思い出しました。 この本にも宝石のような言葉がたくさん散りばめられています。 「医師が患者から奪ってはいけない大切なものはな、 命じゃないんだよ。希望なんだ」 「ガンバレは人に言う言葉ではなく、自分を叱咤するときの言葉」 アフリカの戦地で 家族を殺され、麻薬を打たれ銃を持たされ 地雷の有無を確かめるために先に歩かされ 身体も心も傷ついたひとりの少年が 日本人医師と出会うことで自分を取り戻し 医師になって日本の被災地にいま立ちます。 そして避難所を守る、強くて優しい男たち。 風に立つライオンたちが蘇ります。 最後に、AEDまで登場したのはちょっと嬉しい。 たとえライオンには及ばなくとも 「あなたのできる小さなことをしなさい」 マザーテレサのそんな言葉が胸に響きます。
by noririn_papa
| 2013-07-27 14:02
| 小説・本
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